法学部とのかけ橋BRIDGE TO THE FACULITY OF LAW

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法学部とのかけ橋

研究室訪問 
2020年00月00日

研究室訪問:井関涼子教授 「学びを深める場、つながりを育む場」2025年09月01日

井関先生のご専門は、知的財産法の中でも特に特許法であり、長年、特許権の存続期間延長登録などのテーマを研究されてきました。
先生が特許法と出会ったのは、京都大学の法学部生だった頃に、同志社大学の授業を聴講されたのがきっかけです。
その際、「発明は本来、万人の共有財産である」という言葉に触れ、大きな衝撃を受けたといいます。
この出会いを機に、当時の担当教員であった仙元先生にお手紙を書き、ゼミに通い始められたそうです。
我々筆者は、未知の分野に果敢に飛び込み、探究心を持って学びを深められていく井関先生のお姿から、学問のみならず、人生の指針となる多くの学びを得てまいりました。
特許法や著作権法は、創作者と、創作を利用する者との間の利益調整を目的としています。
特許権や著作権などの独占的権利が強化されれば、それだけ模倣の禁止範囲も広がり、利用者側の自由は制限されます。
しかし一方で、模倣は技術進歩を促す側面もあります。
そのため、「バランスを常に心がける」ことこそが、先生の研究のモットーです。

 3年次演習の様子

ゼミの大きな特徴は、3年次に共同論文、4年次に卒業論文を執筆することです。
法学部では卒業論文の提出は必須ではありませんが、多くの文献に触れながら1つのテーマについて深く考察することは、学生ならではの貴重な経験であり、大きな学びを得る機会と感じています。
論文のテーマは学生が自らの関心に応じて設定します。
知的財産法は、私たちが日々触れる製品やサービスと密接に関わっているため、服や写真といった自らの趣味と知的財産法の関わりなど、生活する中での疑問をテーマにする学生もいれば、ゼミでの学びから感じ取った疑問をテーマにする学生もいます。
また、希望者は、実務家の方に論文のテーマに関して質問するインタビューも行っており、学問と現実社会との交わりを実感できる機会も得られます。
論文を執筆する過程では、先生が赤ペンで丁寧な添削をしてくださります。
そのようなご指導のもとで書き上げた論文を、ゼミ論文集として毎年製本しています。
それだけでなく、法学部が発行する学生論文集である『法と政治のディスクール』に投稿し、掲載される学生が毎年いることも特徴です。
大学院では、スイスや中国からの留学生とともに授業を受けることもあり、時には英語で議論を交わすこともあります。
ゼミや大学院の授業を通じて一貫して感じるのは、先生が「自分の意見を根拠に基づいて論理的に伝える」ことを重視されているという点です。
大人数のゼミであっても、グループごとに話し合い、意見交換を行う時間が設けられており、全員が発言し、考えを深める場となっています。

 2022年のゼミ総会の様子

井関ゼミの卒業生は、企業の法務部や知的財産部に留まらず、公務員、パイロット、医師など、さまざまな分野で活躍されています。
大学院へ進学された方や、弁護士・弁理士の資格を取得して専門職として活躍されている方もいらっしゃいます。
ゼミは今年で27年目を迎え、歴代卒業生の連絡先や近況報告をまとめたゼミ名簿も作成されています。
年に一度開催されるゼミ総会では、多くの卒業生が訪れ、ゼミ時代の思い出や近況を語り合う貴重な機会となっています。また、総会以外の時期にも、授業に顔を出してくださる卒業生が多く、井関ゼミならではの温かく濃い繋がりを実感しています。

                                    法学研究科修士課程前期課程2年次生私法学専攻 髙島里奈
                                    法学研究科修士課程前期課程2年次生私法学専攻 田中優希